■実需マンション価格の動向と価格変動要因
直近の関西のマンション市況をみれば(最新の2024年1月分まで)、大阪市の中心6区を中心に大都市部でのマンション価格は依然上昇基調にあります。また、神戸市や京都市の好立地物件でも同様の傾向です。その一方で、関西圏全体では、価格上昇は落ち着きを見せはじめてきました。転勤時等による引越しの多い年度末は多少変化するかもしれませんが、しばらくこうした傾向が続くものと思われます。
■マンション価格の傾向は、需給のバランスに加えて世帯所得で決まります。
添付の資料は2020年以降の近畿圏におけるレインズに登録された中古マンションの状況です。在庫(=売り出し中)物件がジワジワ増えていることがわかります。また新規登録も少し増えています。つまり、供給が増えているということになります。この状況が続けば、需給のバランスの観点からは、下げ圧力がかかる事になります。売り出しを検討されている方は、早めの対応がいいかもしれません。
もう一つの所得については、これからが春闘の本番を迎えますので、まだ分かりませんが、大手企業を中心に5%以上のベースアップが見込まれています。これはマンション価格上昇要因になります。しかし、その影響がでるのは、5月以降でしょう。
■ もし金利があがれば、マンション価格はどうなる?
では、今後、もし金利があがれば、マンション価格はどうなるのでしょうか?
政策金利は上昇しても少し上がる程度と見込まれていますが、それに連動して住宅ローンの変動金利が上がるかどうかは分かりません(上がらない可能性もあります。)。仮に少し上がったとしても、その利息負担分はわずかでしょう。所得が上がればその分の負担は相殺されることになりますので、本来は「多少の金利上昇」は「それほど大きな影響を与えない」はずです。
ただ、気になるのはマスコミなどが大きく報道して、ムードが悪くなることです。
金融緩和政策が解除されれば、レジュームチェンジのムードが広がる可能性があります。繰り返しになりますが、大きな金利上昇の可能性は低く、あまり慌てることはないと思いますが、ムードは怖いものです。
マスコミによる、「不動産市況におけるネガティブムードの報道」には注意していただきたいと思います。もし、そのような局面になったら、適切にデータを収集し、冷静な対応をしていただきたいと思います。