不動産の購入には物件の価格、仲介手数料以外にも、下のような税金が課税されます。条件を満たすことでその税金が軽減されたり、還付される場合もあります(他に税制上の優遇措置などもあります)。不動産取得にどのような税金が発生し、どのような軽減優遇措置を受けられるかをご案内します。
日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)など特定の文書に課税される税金です。住宅を取得する場合であれば「不動産売買契約書」や「建築請負契約書」また「金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)」等に必要となってきます。
不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課税される税金です。住宅を購入すると土地や家屋(建物)についての登記、住宅ローンを利用して購入する場合などは抵当権設定についてこの登録免許税が必要となります。
新築住宅を購入する際は土地代金については非課税、建物代金には10%の消費税(うち2.2%は地方消費税)が課税されます。
(例:5,300万円(税込)の新築マンションを購入する場合)
・土地価格:2000万円
・建物価格:3000万円
・消費税:300万円(建物価格の10%相当額)
中古住宅については売主が個人の場合は非課税で消費税は不要です。売主が課税事業者の場合のみ消費税は課税されることとなります。
不動産取得税は土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した者に対して課税されます。有償・無償の別、登記の有無にかかわらず課税となります。等価交換による不動産の取得も不動産取得税の課税の対象となります。ただし、相続により取得した場合等、一定の場合には課税されません。※贈与税において、夫婦間の居住用不動産の贈与の特例の適用を受けた場合や、相続時精算課税制度の適用を受けた場合でも、不動産取得税の課税の対象となります。(贈与を取り消した場合でも同様です。)。
税率は4%(2024年3月31日までは土地及び住宅の家屋については3%に軽減)
2024年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、当該土地の課税標準額は固定資産評価額の1/2となります。
住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置は父母や祖父母などの直系尊属から、自己の居住の用に供する住宅の新築若しくは 取得又は増改築等のための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を贈与により取得した場合において、一定の要件を満たすときは以下の金額までの贈与につき贈与税が非課税となる制度です。
登記種別 | 旧制度 | 新制度 | |
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制度の適用期限 | 2021年 12月31日 |
2023年 12月31日 |
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非課税枠 | 省エネ等住宅 | 最大 1,500万円 |
最大 1,000万円 |
上記以外の住宅 | 最大 1,000万円 |
最大 500万円 |
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳(*2022年4月1日以降は18歳)以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
認定住宅等(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅)の新築等をした場合の所得税の特別控除とは、認定住宅等に適合するために必要となる標準的な掛かり増し費用の10%に相当する金額を、原則としてその年分の所得税額から控除するものです。
なお、認定住宅等の住宅ローン控除との併用はできません。
(対象)
2023年12月31日までの間に個人が以下の住宅を居住の用に供したとき
・「認定長期優良住宅」の新築又は建築後使用されたことのない「認定長期優良住宅」の取得をした場合
・「認定低炭素住宅」の新築又は建築後使用されたことのない「認定低炭素住宅」の取得をした場合
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。
毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の0.7%が10年間~13年間に渡り所得税の額から控除されます。
なお、住宅の取得対価の計算においてはすまい給付金の額は控除されます。
ローンを利用せずに、自己資金のみで取得する場合、住宅ローン減税は利用できません。そこで、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅の場合には、自己資金のみで取得する場合にも所得税が最高65万円控除される制度として、投資型減税制度があります。この制度についても、消費税率の引上げを踏まえて拡充されています。具体的には、所管行政庁の認定を受けた長期優良住宅に加えて、新たに所管行政庁の認定を受けた低炭素住宅が対象になります。所得税からの控除は、これらの住宅の性能強化に必要な、標準的な掛かり増し費用が対象となります。なお、申請者や申請時期等は住宅ローン減税と同様です。