株式会社東京カンテイが、2023年10月31日に新築・中古マンションの「年収倍率」を公表しました。マンションの年収倍率とは、各都道府県で分譲された新築マンション価格、成約した築10年中古マンション価格(ともに70㎡換算)を平均年収で除し、新築・中古マンション価格が年収の何倍に相当するかを算出したものです。東京カンテイでは、「年収倍率が低いほどマンションは買いやすく、反対に数値が高いほど買いにくいことを示している。」としています。なお、年収は内閣府「県民経済計算年報」を基に予測値から算出されています。
それでは、近畿3府県の近年の年収倍率の動向を見てみましょう。
添付のグラフからわかるように、年収倍率は年々上昇しています。新築分譲マンションでは、大阪府で12.45倍、京都府で13.66倍、兵庫県で9.52倍でした。特に京都府は、東京都の14.81倍に次いで2番目に高い水準となっています。中古マンションにおいては、京都府(11.35倍)や大阪府(10.45倍)で昨年から大きく拡大し一気に10倍の大台に到達しています。兵庫県は、7.8倍で昨年よりも1.01ポイント上昇しています。
ちなみに、海外の年収倍率はどれくらいなのでしょうか?国土交通省が公表しているデータを見ていきましょう。各国の新築住宅価格を世帯年収(※前述の東京カンテイが算出する年収倍率は「平均年収」)で除した年収倍率の比較によると、日本(2021年)が6.83倍であるのに対して、アメリカ(2020年)は5.07倍、イギリス(2020年)5.16倍、フランス(2019年)6.14倍となっています。日本の年収倍率の高さが際立っています。
年収倍率拡大の背景には、マンション価格の高騰があります。近畿圏でも新築マンションは高騰しており、最新の2023年10月の近畿圏新築マンション成約平均価格は、㎡当たり79.0 万円で前年同月比5.4%のマイナスとなりました。しかし、新規契約率は3カ月連続70%超えの78.0%と好調で底堅い需要が続いています。また、中古マンションも新築マンション価格につられて上昇しており、特に、大阪府や京都府では国内外の富裕層の需要が旺盛でマンション価格が急騰しています。
一方で、日本国民の所得は伸びていません。