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2023.11.16 不動産ニュース
近畿圏タワーマンションのこれから②
どうなるタワマン節税?そもそもタワマン節税とは?

タワマン節税とは、購入価格(実勢価格)よりも相続税評価額が大幅に低くなるというタワーマンションの特徴を生かし、相続税の負担を軽くするスキームのことを言います。現金で資産を相続した場合、現金すべてが課税対象になりますが、タワーマンションを購入して相続すれば、大きな節税になる可能性があります。
 しかし、相続税評価額が市場価格とあまりにもかけ離れた事例が多く発生するようになりました。たとえば、東京都にある総階数43階のタワーマンションの23階の物件(築年数9年)が、市場価格は1億1,900万円なのに対し、相続税評価額が3,720万円となり、価格の乖離率が3.2倍となる事例がありました(国税庁令和5年1月 31 日資料より)。さらに、この事例の相続人が子1名だとすると、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)3600万円を引くと課税価格は120万円。このマンションだけが相続財産だとすれば、税金は税率10%で12万円となります。マンションの購入金額1億1,900万円を現金で相続した場合は、1,790万円の相続税になるので、大幅に減税されたことになります。
同じく国税庁資料によると、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離率は、年々上昇傾向にあるようです。平成25年では1.75倍だった乖離率が、平成30年は2.34倍になっており、タワマン節税が常態化してきているのが分かります。(国税庁令和5年6月 30 日資料より)。この、2.34倍は、同じ年の一戸建ての平均乖離率が、1.66倍であったことと比較すると、マンションにおいて市場価格と相続税評価額が大きく乖離しているのが分かります。
このような現状を打開するために、今後タワーマンションに対する税のルールが施行されます。(タワーマンションにおける新しい相続税評価額の評価方法は、2024年(令和6年)1月1日以後の相続または贈与により取得した財産に適用される予定となっています)。ただ、多くのタワーマンションでは、購入の大半は、節税目的よりも実需(自らの住まい)としての購入ですので、タワマン節税が需要の縮小につながるのは僅かにとどまるものと考えられます。