お知らせ一覧INFORMATION LIST

2023.08.01 不動産ニュース
2023年路線価の考察と相続税への影響①
無題.jpg
国税庁は7月3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023年分の路線価(1月1日時点)を発表しました。路線価とは、主要道路に面する土地の1平方メートル当たりの価格(単位は1,000円)を言います。相続税はそもそも、財産を「時価」で評価することを定めていますが、現金や上場株などと違って、土地の「時価」を把握することは難しいという現状があります。そのため、国税庁が原則として路線価に基づく算定を認めています。
それでは、23年分の路線価について詳しく見ていきましょう。

コロナ禍からの回復と地価の二極化
府県別の平均路線価の前年変動率では、大阪がプラス1.4%、京都府がプラス1.3%、兵庫県がプラス0.5%で、滋賀県が横ばいでした。一方で、奈良県がマイナス0.2%、和歌山県はマイナス1.2%と、近畿圏内でも地域差が見られました。首都圏では、テレワークの浸透により移住の受け皿となった影響で、東京近郊の千葉県や埼玉県の住宅エリアの地価上昇が目立っています。近畿圏でも一部のエリアで同様の現象が見られるものの、交通利便性の影響を受けるエリアに関しては、路線価の上昇が見込めず、近畿圏内で今後も地価の二極化が進む可能性があります。

次に大阪エリアについて詳細を見ていきましょう。大阪府全域の平均変動率は前年比1.4%増となり2年連続で上昇しました。大阪府内にある31の税務署ごとの最高路線価は上昇が27地点、横ばいが4地点、下落地点はありませんでした。前年は、下落が8地点であったことを考えると、新型コロナウイルス禍からの回復の兆しがうかがえます。


■大阪市の最高路線価(大阪市北区角田町)の変動率推移
大阪市の状況を、「都道府県庁所在地内の最高地点」の推移により見てみましょう。添付の資料をご確認ください。大阪市の最高路線価地点だった「大阪市北区角田町(御堂筋)」は、前年からプラス1.3%で、1平方メートルあたり1920万円となり、40年連続で近畿の税務署別最高路線価をキープしました。コロナ禍を経て、ようやくプラス圏内に戻りましたが、コロナ禍直前の2020年1月1日時点の評価となる2020年路線価の変動率が、プラス35.0%であったことを考えると、コロナ禍前の水準にはまだほど遠いと言えます。ただ、足元では外国人観光客が戻ってきており、かつ2025年の大阪万博や2029年秋(あるいは2030年春開業見通し)のIR構想に向けて不動産市況の活性化が進むと見られます。また、大阪市は海外不動産家から投資効率の点で評価を受けていることもあり投資熱も熱く、路線価も今後更なる回復が見込まれます。