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2023.05.12 不動産ニュース
建設工事費高騰と新築分譲マンション価格
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不動産価格の算出方法は大きく3つに分けられます。
一般的に、不動産価格の算出方法は、「収益還元法」「取引事例法」「積算法」の3つが採用されています。まず「収益還元法」は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される収益をベースとして求められる価格で、主に投資用(収益)不動産を査定する時に利用されます。次に「取引事例法」は、対象不動産と条件が近い不動産の取引事例を多数集め、必要に応じて対象不動産の価格補正などを行い、不動産価格を求める方法です。中古マンション、中古住宅や土地の価格査定でよく使われる手法です。3つ目の「積算法」は、土地と建物の調達価格を合計して算出する方法です。一般的には、銀行の不動産評価や新築価格の算出で利用されます。土地の評価方法としては主に「路線価」「公示価格」「固定資産税評価額」を利用して評価します。建物については新たに新築した場合の費用から経過築年数分の減価を差し引いて求めますが、新築物件は、建築資材・人件費・販売会社の利益などが積み上げられていきます。
今回は、積算法に着目して不動産価格を見ていきましょう。

建設費と新築価格の関係
まず、建設工事費がどれくらい上昇しているのかを見てみましょう。
添付のグラフの黄色の推移は、国土交通省が発表している建設工事費デフレーター(住宅建築)の実数値とそれを12カ月移動平均で示したものです。これを見ると2021年頃から建設工事費が急上昇しているのが分かります。コロナ以降、世界的な「ウッドショック」や円安などの影響を受け、建設費は急上昇しました。アメリカ等の先進各国で、リモートワークなどの浸透により、郊外に移住したり、自宅をリフォームしたりする人が増えたことに加え、当時アメリカなどでは金融緩和が進み低金利であったことなど、住宅需要が増えたことで、木材需要が急増したことが原因と言われています。世界的なウッドショックの影響を受け、日本でも木材価格が上昇しました。更に、日本国内では、2022年以降、円安の影響も加わり建設費の高騰は加速することになりました。
次回は、近畿圏の新築分譲マンションの推移を見てみることにします。