2022年4月に(株)不動産経済研究所より「超高層マンション動向2022」が発表されました。本調査での超高層マンションの定義は、階高が20階以上となっていますので20階建以上のマンションについて考察します。また、ここでは、「超高層マンション」ではなく、みなさまの耳馴染みのある呼び方、「タワーマンション」でお話を進めたいと思います。
それでは、近畿圏のタワーマンションの状況について早速グラフのデータ「近畿圏 タワーマンションの完成(予定)年次別計画棟数・戸数」(株式会社不動産経済研究所「超高層マンション動向」より作成。以下同様。)を見ていきましょう。
近畿圏では、首都圏よりも少し遅れて1990年代後半からタワーマンションが増えてくるのですが、タワーマンションが建ち始めた初期の頃は、大阪市内の都市部ではなく郊外エリアに建築される物件がメインでした。ところが、1997年の建築基準法改正により容積率の上限や計算方法の変更、日影規制等が緩和されると、一気に都市部でのタワーマンション開発が増えてきました。しかしながら、2008年に発生したリーマンショックによる経済情勢によって、近畿圏でのタワーマンション計画の規模縮小が相次ぐことになります。リーマンショック以前に計画されていた2009年建築の10,148戸をピークにタワーマンションは低迷が続きます。その後は、郊外エリアに建築される物件よりも大阪市内の都心部を中心としてタワーマンションが竣工されていきます。2019年に5年振りに5,000戸を超えたものの、2020年は1,688戸、2021年は3,171戸と再び落ち込んでいます。
現在、近畿圏で22年以降に計画されているタワーマンションは52棟(1万5,030戸)で、その内訳は、大阪市内で33棟(8,905戸)、大阪府下で10棟(3,423戸)と、大阪府だけで全体の約8割を占め、兵庫県は6棟(1,724戸)、京都府3棟(978戸)となっています。しかし、新型コロナウィルスの長期化やウクライナ問題に端を発する世界的な物価高、そして地球温暖化による世界的な気象変動等の影響で資材の高騰・品薄により工期が延び、竣工が後ろ倒しになる可能性も考えられる状況となっています。