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2022.04.19 不動産ニュース
2022年近畿3府県の地価公示を読み解く。
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 2022年3月22日に、土地価格の動向を示す地価公示が国土交通省より発表されました。今年の地価公示では、新型コロナウイルスの影響が徐々に和らいでいる中で、「どれくらい地価が回復しているのか?」に注目が集まりました。結果としては、全国平均で住宅地が前年比0.5%、商業地は0.4%と、ともに2年振りにプラスとなり、コロナ禍からの回復傾向を見ることが出来ました。
 地価公示は、国土交通省の審議会の1つである土地鑑定委員会が1月1日時点の土地の価格を鑑定し公表するものです。以下の解説では、2020年の地価公示は、新型コロナウイルスの感染拡大が発生していない時点での価格であることに留意してグラフを見てください。
 大阪府、兵庫県、京都府の推移を見ると、2020年までは上昇傾向が続いていましたが、2021年はどのエリアも大きく下落し、新型コロナウイルスによって経済活動の縮小の影響が色濃く見られました。しかし、2022年地価公示では、コロナ前の水準まで回復とはいかないものの、回復基調にあると言えそうです。
 各地点別の変動率を見ていきましょう。各府県内全調査地点数に占める「地価が上昇した地点の数」の割合は、大阪府38%(前年8%)、兵庫県40%(前年19%)、京都府33%(前年6%)と、昨年に比べて上昇したエリアの数が大きく増えています。エネルギー価格の上昇は見られますが、景気全般が上向きであること、低金利が継続していることなどから住宅地における住宅需要が高まり、更に都市部ではマンション需要の高まりなどから地価が上昇に転じたと見られます。
 一方で、商業地では兵庫県が横ばい、京都府が0.5%と上昇しましたが、大阪府はマイナス0.2%と、去年に続いて下落。全国の商業地変動率ワースト10のうち大阪・ミナミが8地点を占め、大阪の商業地の下落が目立ちました。大阪・ミナミエリアには、外国人旅行者が好むような飲食店や小売店が多く見られますが、インバウンド需要の回復遅れのため、まだ地価の回復に至っていないという状況です。
 今後、インフレ基調になれば、それに連動して地価上昇の可能性が高まります。一方で、インフレ状況が鮮明になれば金利が上がり、不動産市況がネガティブな状況になりかねません。足元では金利上昇の兆しがちらほら見え始めていますが、いまのところ日銀は、「金融緩和政策はまだ続ける」としています。少なくとも2022年内の大きな金利上昇の可能性は低いと思われるため、来年、2023年に発表される地価公示は今年よりもコロナ前の水準へ回復することが予想されます。