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2023.03.30
2023年地価公示を読み解く
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大阪圏商業地の地価回復と住宅地上昇の郊外への波及

3月22日に国土交通省から2023年1月1日時点の地価公示が発表されました。全国全用途平均は昨年から上昇率を1.0ポイント上回り1.6%の上昇で、2年連続のプラスとなりました。全国2万6,000地点の調査対象のうち上昇地点は58.0%となり、昨年の43.6%を大きく上回りました。コロナ禍を過ぎ、徐々に景気が回復していく中で、都市部の地価上昇が周辺エリアを牽引する形で地価の上昇が続いていることにより、昨年よりも地価の回復が顕著となりました。
それでは、大阪圏(大阪府、京都市、神戸市、西宮市、尼崎市、奈良市など)の地価について詳しく見ていきましょう。
商業地は地価変動率が3年振りのプラスとなりました。コロナ禍前の2020年における都道府県別商業地地価変動率は沖縄県の13.3%に続き、京都府8.1%、大阪府7.7%インバウンド需要を受けて大阪圏が上位を占めており、商業地の地価上昇が続いていました。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により状況が一変、2021年には8年振りのマイナスとなりました。昨年(2022年)の地価公示は全国的に回復傾向が見られましたが、地点別下落率全国上位10位のうち、8地点を大阪市が占めるなど、大阪では回復傾向が他の都市に比べて鈍い状態でした。特に、外国人旅行者に人気だったミナミ地区の下落が目立ち、道頓堀の基準地点では下落率が15.5%で2年連続全国ワースト1位という結果でした。2023年では、外国人旅行者の需要回復などを背景にこれらの繁華街で地価が上昇に転じたり、下げ止まったりする地点が多く、更に、「うめきた」エリアで進められている第2期の再開発への期待などから周辺で地価が上昇したことで、大阪圏の商業地地価がプラスへと大きく改善しました。
「うめきた」への期待感は、住宅地の地価にも表れてきました。大阪圏内で、最高地価価格である大阪市福島区の基準地点は7.4%伸びています。コロナ禍で下落した大阪圏の住宅地地価ですが、昨年の0.1%プラスから更に上昇幅を拡大し、2023年は0.7%の上昇で、2年連続でプラスとなっています。
そして、住宅地の地価上昇傾向は、大都市部だけではなく、都市近郊エリアでも利便性の高い駅周辺にも波及し始めています。

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