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2023.03.02
税制改正で、より身近になる相続税
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意外と身近な問題である相続税
大阪国税局管轄内(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)で令和3年に亡くなった方の数は22万9,755人でした。そのうち、相続税の申告書を提出する必要があった被相続人の数は2万1,985人で課税割合は約9.6%でした。つまり、近畿エリア(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)では令和3年に亡くなった方の10.4人に1人が相続税の申告書を提出したということになります。また、実際に相続税を支払った相続人の一人当たりの平均税額は、1,830万円でした。
課税割合を府県別に見ると以下の通りとなります。滋賀県:8.5%、京都府:10.6%、大阪府9.5%、兵庫県9.8%、奈良県10.0%、和歌山県7.5%と、エリアによってばらつきがあります。

■大阪国税局管轄内 課税対象被相続人・課税割合の推移
上のグラフは、大阪国税局管轄内(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の課税対象被相続人と課税割合の推移です。相続税の基礎控除額が平成26年までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」であったものが、平成27年に「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に変更されてからは相続税の対象となる被相続人の数が急増しました。更に、新型コロナウィルスの感染拡大が始まった令和2年以降、死亡者数が増加することで課税対象被相続人の数も増加しています。新型コロナウィルスが原因で亡くなった方々の中には、「相続税対策」など検討するには「まだ早い」と考えられていた方々が、相続税対策が十分になされないまま急に亡くなられたケースも多かったのではないでしょうか?

相続税は無縁だと感じている方も多いかもしれませんが、実は身近な問題でもあります。そのため、相続税対策の必要性がある方が増えていることがデータから分かりました。

「2023年度税制改正大綱」発表
これまで見てきたように相続税は実は、縁遠いと思ってもいざふたを開けてみると喫緊の問題でもあります。そんな相続税ですが、今後大きな変更がありそうです。2022年末に発表された2023年度の税制改正大綱によると、生前贈与の変更、節税を目的としたタワーマンション購入、つまり「タワマン節税」の規制の方向性も明らかになっています。
 まず、生前贈与ですが、加算期間が現行の3年から7年に拡大することが税制大綱で明記されました。生前贈与は、財産を相続する前に贈与することで、相続税対策として使われることが多くあります。相続時にみなし相続財産として、生前に贈与などで財産を受け取っている場合は遡って相続税がかかるようになっており、今までは贈与をした人が亡くなった日から3年よりも前の財産に相続税はかかりませんでしたが、今後は7年前までの期間も相続税の対象となってしまいます。
 次に、富裕層がこれまで用いてきた「タワマン節税」は、今後実現できない可能性が濃厚になっています。マンションを相続する場合、相続税の算定根拠となる評価額が市場価格を大きく下回ることで現金で相続するよりも相続税を圧縮できる可能性があり、高層階ほど節税効果が高いため「タワマン減税」と言われていました。税制大綱には、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ、適正化を検討する」と記載されており、今後の検討事項に盛り込まれています。こちらに関しても引き続き、注力していく必要がありそうです。

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