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2023.02.20
データで読み解く2023年住宅市況②
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中古マンションは需給バランスで決まる
不動産は経済学的に言えば、「財」にあたります。他のモノと同じように、需給バランスで価格が決まります。新築物件の場合は、仕入れコストや製造原価、工事費なども価格に大きく影響を与えますが、中古物件の場合、基本的には「買いたい人(=需要)」が、「売りたい人(=供給)」より多いと価格は上がり、その逆、需要より供給が多いと価格は下がります。
それでは、中古マンションの供給量は現在どのような状況なのでしょうか?左の「近畿圏中古マンション在庫件数の推移」をご覧ください。
 コロナ禍で売り渋りをする売り手が増え、2020年6月くらいから近畿圏の中古マンションの在庫件数は大幅に減少しました。しかし、2021年夏ごろから、一転して在庫件数は増加傾向にあります。
このまま供給量が増え続ける中で、例えば金利が上昇するなどして、買い手(=需要)が増えることがなければ、バランスが崩れ、値下がりする可能性もあります。

金利の上昇に注意が必要
 最後に、市況に大きな影響を与える要因として、重要なものが金利の動向です。金利の上昇は言うまでもなく、支払い総額に大きく影響を与えます。ただ、それだけではなく、金利の上昇は、「ネガティブなムード」にも影響を与えます。世の中に「金利が上昇しているから今は買い時ではない」というムードが浸透すると、消費者の実際の行動にも表れ、住宅購入を先送りする人が増えてくるでしょう。
 ただインフレ上昇は、投資物件に恩恵をもたらす場合もあります。過去のデータを見ると、物価が上昇すると、少し遅れて家賃も上昇していきます。家賃が上昇すれば、金利上昇分も相殺することができます。また、購入を先送りした消費者が住宅購入への「つなぎ」として賃貸住宅を選択することによって、賃貸住宅の需要に繋がる可能性もあります。
今後の金利動向には引き続き注視していく必要があります。

まとめ
 2023年の不動産市況は、概ね良好だと思いますが、その一方で、金融政策に影響される金利などは「なかなか読みにくい」状況にあります。消費者物価指数の上昇が続く中で、多少の金利上昇の可能性は高くなってきました。基本的には大きな金利上昇はないと思いますが、仮に金利が年内に1%程度上昇することになれば、不動産市場の潮目が変わってしまい、需給関係は大きく崩れていくと考えられますので、注意が必要と言えそうです。

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